葉咲

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ライト文芸

業火を刻めよ(27)

<<プロローグから読む! <26話  スキップしたヒカルは、眩暈と吐き気に襲われた。だが、倒れ込んで回復を待つ時間はない。ゆっくりとしか歩けないが、ヒカルは黒田の家に戻る。幸いにして、それほど離れたところに着かなかったので、方向音痴なヒカル...
ライト文芸

業火を刻めよ(26)

<<プロローグから読む! <25話  三度、四度と読み返して、ようやくヒカルは書かれている事実を飲み込んだ。 「なんで……」  声が震える。ぐっと喉の奥が詰まって、嗚咽へと変わる。 『宗教法人・龍神之業による集団自殺および無差別殺人事件』 ...
ライト文芸

業火を刻めよ(25)

<<プロローグから読む! <24話 「もう行っても無駄だ」  エリーの声に、ヒカルは強く反発した。 「そんなの、わかんないだろ! ただ単に、風邪ひいて寝込んでるだけかもしれないし」  語尾にかけて声が小さくなっていった。そんな単純な話ではな...
ライト文芸

業火を刻めよ(24)

<<プロローグから読む! <23話  悩みに悩んだ末、ヒカルはウサギのぬいぐるみの入った鞄を、持って出かけた。エリーは何も言わなかった。声が聞こえないと、本当にただのぬいぐるみにしか見えない。彼が今、モニターで観察しているのかどうかさえ、ヒ...
ライト文芸

業火を刻めよ(23)

<<プロローグから読む! <22話  帰宅したヒカルを待っていたのは、気まずそうな顔をした黒田だった。 (あ、ばれてんな、これ)  黒田はヒカルが何かをしようとしているのに気がついて、邪魔なエリーを引き受けてくれていた。ただ、エリーにはごま...
ライト文芸

業火を刻めよ(22)

<<プロローグから読む! <21話  ファッションビルの中のトイレは便利なもので、着替え台がついている。そこを利用して、桃子は制服姿になって出てきた。メイクはギリギリまでそのままで帰路につく。大人びた顔とセーラー服は、アンバランスだが、それ...
ライト文芸

業火を刻めよ(21)

<<プロローグから読む! <20話  予約していた美容院で、親にばれないよう、長さをほとんど変えずに整えてもらった。コテで巻かれていく自分の髪の毛を、鏡越しに桃子は見つめている。お喋りな美容師が話しかけても、桃子は反応しない。 「大丈夫だっ...
ライト文芸

業火を刻めよ(20)

<<プロローグから読む! <19話  待ち合わせ場所に指定したのは、彼女の通う高校の、校門前だった。土曜日は休日で、部活にやってくる生徒しかいないが、若い男がいるのは珍しいらしく、チラチラとこちらを見てくる。  兄でーす、という顔をして、ヒ...
ホラー

最高のミートソース

母は、料理上手な人だった。専業主婦として、持て余した時間を、すべて夕食の支度に使ってしまうような人だった。  だから私の家の食卓には、ほとんど毎日、誕生日とクリスマスがいっぺんにやってきたようなごちそうが並んでいた。  なんでもやってみたい...
ライト文芸

業火を刻めよ(19)

<<プロローグから読む! <18話  タオルの海の中に転がっていたウサギには、外の音は拾いにくかったようだ。ヒカルが桃子と何かを話していることは集音マイクが拾っていたが、中身までは気づいていなかった。  桃子の方よりも、自分の問題の方が厄介...
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