ライト文芸 高嶺のガワオタ(32) <<はじめから読む! <31話 『恐れるな、サヤ。君が怖がれば怖がるほど、彼も恐慌状態に陥り、暴走する』 飛天は静かに言う。フードを目深に被り、それでもやや心もとなかったので、突貫で作った白い仮面を身に着けている。 『でも! 私はあんな怪... 2020.09.26 ライト文芸長編小説高嶺のガワオタ
ライト文芸 高嶺のガワオタ(31) <<はじめから読む! <30話 「本当にすまなかった」 次郎の噂話は、半分が本当で半分が間違いだった。太陽自身は盗撮騒ぎに一切関与しておらず、中心となっていたのは記録係の男だった。 この数日、太陽は部員全員の事情聴取を行い、映画撮影は中... 2020.09.26 ライト文芸長編小説高嶺のガワオタ
ライト文芸 高嶺のガワオタ(30) <<はじめから読む! <29話 あくまでも噂だ、と前置きしたうえで次郎が言ってのけたのは、中野太陽率いる特技研の最近の噂だった。 『某有名監督の真似をして、最近はきわどいショットばかり狙ってるって噂が……』 専門学校時代の知り合いの伝手... 2020.09.25 ライト文芸長編小説高嶺のガワオタ
ライト文芸 高嶺のガワオタ(29) <<はじめから読む! <28話 「品川!」 大声で怒鳴られて、ハッとした。高岩ではない、別の若い先輩と組み手の練習をしている最中に、考え事をしてしまった。飛天の頬に、相手の手刀が決まる。 鋭い痛みに、蹲った。 「ぼーっとしてんじゃねぇよ... 2020.09.25 ライト文芸長編小説高嶺のガワオタ
ライト文芸 高嶺のガワオタ(28) <<はじめから読む! <27話 『絶対に、報われる日は来るから!』 芸能界は残酷な世界だ。入ろうとする者を弾き返し、なんとか厳しいオーディションを経て残ったとしても、人気がなければ生きていけない。そして去る者を追うこともしない。新人はいつ... 2020.09.25 ライト文芸長編小説高嶺のガワオタ
ライト文芸 高嶺のガワオタ(27) <<はじめから読む! <26話 妹が不在の時間をなるべく狙って、飛天は映理を招いていた。今日で三回目、すでに撮影は始まっている。 飛天は撮影現場にも見学に行っていた。太陽は真剣に、細かく演出を演者に伝えていた。少しだけ印象はよくなったが... 2020.09.24 ライト文芸長編小説高嶺のガワオタ
ライト文芸 高嶺のガワオタ(26) <<はじめから読む! <25話 頬を押さえながら、舞い上がりそうな気持ちでいっぱいの映理に、「俺、高校のとき演劇部だったんだ」と小さな嘘をついた。 「本当に? 裏方じゃなくて、役者をしてたんですか?」 「疑い深いんだな……役者として舞台に... 2020.09.24 ライト文芸長編小説高嶺のガワオタ
ライト文芸 高嶺のガワオタ(25) <<はじめから読む! <24話 とにかく話をきちんとしようと、飛天たちは太陽に連れられ、別室へと移動した。狭い控室のテーブルに向かい合って座る。 「あの、中野さん? ヒロインって……」 太陽の目は、映理に釘付けだった。指で作った四角を前... 2020.09.24 ライト文芸長編小説高嶺のガワオタ
ライト文芸 高嶺のガワオタ(24) <<はじめから読む! <23話 会場は満員御礼だった。ここにいる全員が、特撮オタクかと思うと飛天は緊張で身を強張らせたが、すべて杞憂だった。 ここにいるのは純粋に特撮技術やアクションなどに魅了された人間たちばかりだ。生身の人間への興味は... 2020.09.23 ライト文芸長編小説高嶺のガワオタ
ライト文芸 高嶺のガワオタ(23) <<はじめから読む! <22話 映理から電話で誘われたのは、三日前だった。 『飛天さん。お願いがあるんですけど……』 普段は意識しないが、電話越しだと、声に宿る感情というものに敏感になるものだ。映理の声は、「断られたら嫌だな」という不安... 2020.09.23 ライト文芸長編小説高嶺のガワオタ