ライト文芸

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函館駅前おしゃべりランチへようこそ 

プロローグ 東京の夏にはもう慣れたつもりだったけれど、今年は特に暑い。エアコンの効いた屋内と比べて、外は地獄だ。 内勤だし、昼はお弁当を作ってきているから、就業時間内に外出することは滅多にない。 勤務中はずっと白衣で、特に服装規定はない。行...
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歌ってマスール(23)

<<はじめから読む!<(22) 二〇二四年、十二月。 学生時代はそうでもなかったが、社会人になってから、「師走」という言葉に現実味を感じるようになっていた。一年があっという間に過ぎていく。 望美は二十五歳になった。なってしまった。兄が死んだ...
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歌ってマスール(22)

<<はじめから読む!<(21) 二学期の終業式。 ミッションスクール独自の行事として、クリスマスミサが行われる。近くの教会の神父を呼び、クリスチャンの生徒や教師が聖体を拝領する、本格的なものだ。 とはいえ、学校の生徒のほとんどが信仰心など持...
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歌ってマスール(21)

<<はじめから読む!<(20) 生徒が使う部屋と、広さは大差なかった。違うのは物の少なさで、本棚には聖書やカトリックに関する本が並んでいるだけだった。「吉村さん」 立ち上がって出迎えてくれた鏡花は、入室したのが望美だと知ると、ホッとした表情...
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歌ってマスール(20)

<<はじめから読む!<(19) MIRAと鏡花が同一人物であるという疑惑を抱いて以降、望美は鏡花のことを徹底して避けた。菜々を助けるべく、相談して動かなければならないのに、一切言葉を交わしていない。 彼女の方は、何かを話したそうにこちらに近...
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歌ってマスール(19)

<<はじめから読む!<(18) その日以降、菜々は帰ってこなかった。 寮母にも生徒指導の教師にも聞きづらく、望美が彼女の処遇を尋ねたのは、鏡花だった。彼女は自分の味方だ。菜々ともよく話をしていて、仲がいい。 鏡花は菜々がタバコを持っていたこ...
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歌ってマスール(18)

<<はじめから読む!<(17) MIRAの痕跡を追うも、実像が見えてこないまま、十二月半ばになろうとしていた。 期末テストの季節である。 一度取った特待生は、目に余る素行不良や法律に反する行動を行わない限り、たとえ学年順位が下がったところで...
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歌ってマスール(17)

<<はじめから読む!<(16) 帰寮してすぐ、MIRAの捜索を始めた。 彼女は兄が自殺する少し前に、歌い手の活動を休止している。理由については言及がなく、更新が途絶えているSNSには、活動を無期限休止すること、動画は削除しないことを端的に伝...
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歌ってマスール(16)

<<はじめから読む!<(15) 在宅している期間が、めっきり短くなった母を、とうとう施設に入れる。 そして、祖父母は別の土地に引っ越しをするのだという。母の身持ちの悪さで、あれこれと噂をされる生活とも、これでおさらばというわけだ。 母が入る...
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歌ってマスール(15)

<<はじめから読む!<(14) 翌朝、鏡花に伴われて、元々の宿泊先であるホテルへと帰った。 修道院は静かで、自分の愚かな行いを嫌というほど反省した。眠れないと思ったが、実際はよく眠れて、鏡で見た顔はまだ腫れていたが、晴れ晴れとしていた。 世...
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