銀嶺のヴォールク(北ミチノ)

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レビュー

秋のBL読書週間、買ってきた本がたまたま、

・シリアス×西洋風ファンタジー
・ラブコメ×現代日本

っぽいので、交互に読んでいます。

「銀嶺のヴォールク」(北ミチノ)

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ロシアっぽい帝国、北方の軍を舞台としたファンタジーBL。
前半の表題作は、ビーボーイの小説新人賞(今は亡き・・・・・・)受賞作で、後半は書き下ろし。
主役の二人が事件に巻き込まれつつ、想いを通わせていく前半と、ひたすら甘くイチャイチャしている後半、どちらも楽しめる一冊となっております。

北方の軍に赴任してきた美貌の中佐・アレクセイ。
職務に忠実、不正や怠惰な行為は許せない性格の彼が、人狼の親子を助けたことから物語はスタートします。

獣人系BL(人間の身体に獣耳・尻尾くらいの)だと、どうしても性質も人間寄りな場合が多いような気がします。
この話に出てくる人狼・ヴィールカは、森のオオカミとして生まれ育ち、人として街で生きることがなかったので、出会ったばかりの頃は、オオカミとしての性情しか持ち合わせていないに等しいです。
アレクセイに助けられるまでの彼は、つがいを猟師に殺されたり、子どもを人質に捕まえられたりと、人間には散々な目にしか合わされていません。
アレクセイとの出会いから、人狼部隊に組み込まれ、人間の生活を知っていきますが、それでもやっぱり、彼は人間とは言いがたい。
だからこそ、ふとした一言でハッとする瞬間があったり。

なんて真面目に書きましたが、一番印象に残っている人とオオカミの違いシーンは、キスについてですね。
キスを知らないヴィールカに、キスについてまじめに教えるアレクセイ、ほのぼのでした。
その後実践でキスにめちゃくちゃ夢中になってましたね、ヴィールカ。
習うより慣れよとはこのことか?(違う)

北ミチノ先生は、ペンネームからも推察されるとおり、北国の出身です。
雪深いところで生まれ育った人にしか書けないシーン、セリフがよかったです。

特に、アレクセイの元恋人(故人)のイヴァンのセリフ。

――……どんなに分厚い雪の下にも大地はあり、優しい草花の芽を抱いている。

『銀嶺のヴォールク』P34

なんて、雪国の男にしか言えないセリフじゃないですか?
冷徹に見えて、その実優しく臆病なアレクセイの内面を、如実に表していると思います。

繁殖期で忙しく、なかなか恋人同士触れ合う時間が取れなかったヴィールカが、「たくさん甘えさせてもらう」と言いつつ、アレクセイを甘やかしているんだろうな~。

そう考えると、アレクセイと恋人になった男は、愛情深いイイ男ばっかりですね。

惜しむらくは、軍服を着たままのエロがなかったことですかね……
完全に私の好みですけど!
ストイックの権化である軍服を! 汚したい!!
アレクセイがそんなことしないって知ってる!
彼の嫌がることをヴィールカもしないってわかってる!
わかっていても夢見てしまう。

そう、軍服にはロマンが詰まっているのです……。

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