王子と護衛~俺は貴方に縛られたい~(海野幸)

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レビュー

たたかう男、強い男たちのBL特集、第三弾!

「王子と護衛 ~俺は貴方に縛られたい~」(海野幸)

↑Amazonに飛びます。

なにげに今月、中東の王子様攻めも二冊目だということに気づきました。
特に意識したわけじゃないです(笑)。

↑王子様モノ一冊目はこちら。

こちらは日本人の母を持つ、中東のどこかの国の末っ子王子様・ラシードの日本視察の護衛任務に就いた國行。
職務に忠実、真面目なオンの姿と、実はドMでラシードの命令を聞くことにメロメロになってしまうオフでの姿のギャップに萌えます。
Sじゃないのに國行のプレイに付き合ってアレコレしてくれる(道具を買いそろえたり、緊縛の勉強をしたり)懐の広いラシードが、新しい扉を開いてしまうのもよくわかります。

プロの小説家ってすごいな~、と思ったのが、國行のトラウマの扱い方です。
私のようなアマチュアだと、
「とりあえず主人公に悲惨な過去を作って、相手に癒やされる話を書こう!」
と思い立って書いたところで、過去の出来事ばかりが浮き彫りになってしまい、なんだか悪目立ちしてしまいます。
(その辺指摘されているのが、この話を読みながら思い出した自作『愛は痛みを伴いますか?』です。Mの受けに付き合ってくれるSじゃない攻め、という辺りがこの話を共通しますが、まるきり違う話・・・・・・)

國行にはトラウマ、というか幼い頃の後悔があって、それが

  • 警備会社勤務という仕事(どうして警察官にならなかったのか、という点も説明がなされます)
  • ラシードに贈ったハンカチという小道具
  • Mという性癖

のすべてに上手に絡んでくるのです。
説得力があるし、何よりも過去のトラウマな出来事が浮いて見えないんですよね。
プロってすごいや。

後書きでは「Dom/Subと銘打たなかった」と書かれている割りに、帯にはばっちり「Dom/Subユニバース」って書かれていて、今よく見たら「まろやか度・星5つ」になってる(笑)。
セーフワードくらいしか独特なものが出てこないので、個人的にはラシードと國行の間限定のSM関係だと思っています。

この話を読んで思ったのは、Dom/SubというかSMの性質って、生まれもっての生物学的なものというよりも、成長過程によって形成される、社会学的・心理学的なものなのかな~、ということです。
オメガバースは完全に生物学的なものだろうけど、Dom/Subはその性質転換が比較的起こりうるんじゃないかなって。
そういう視点で書いてみるのも面白そうです。

両思いになったと思ったらラシードがそれまで我慢していたのを辞めたみたいに、「愛してる!」「結婚してくれ!」「家は用意してある!」と熱烈に口説いてくるのが面白かったです。

しかし作中でラシードが自身の母について語った言葉のように、ハッピーエンドではなくここから彼らのパートナーシップは始まっていくのです。
異国で、しかも末王子とはいえ王家に連なる人間になる國行の今後は、前途多難なものでしょう。
(求婚しているけれど、ラシードの国では同性婚は認められていませんし)
それでもこの二人なら、困難を乗り越えていってくれそうな気がする、パワフルなBLでした。
端的に言って最高でした。


背の高い受け大好きです。
(結論そこじゃないだろ)

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