ライト文芸

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高嶺のガワオタ(6)

<<はじめから読む! <5話  なんだ? と目を凝らせば、どうやら言い合いをしているのは男女だった。服装が釣り合わないので、一緒に来たわけではなさそうだ。  いかにも「オタクでござい」と主張している服の男が一方的に怒鳴り散らし、清楚な花柄の...
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高嶺のガワオタ(5)

<<はじめから読む! <4話  頭を隠してしまえば、視界はとても狭かった。 「今日はイベントが分散してるから、いつもより少ないと思うよ」  などと次郎は言っていたが、飛天の目に入るのは、人、人、人の群れである。子供たちの歓声を受けて、飛天は...
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高嶺のガワオタ(4)

<<はじめから読む! <3話  何も知らされないまま迎えた、土曜日の早朝。  飛天はテントの中で、後悔していた。汗をかくから着替えを用意しろ、と言われたので、どんな激しい肉体労働なんだと思っていた。  しかし、蓋を開けてみれば、肉体よりもむ...
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高嶺のガワオタ(3)

<<はじめから読む! <2話  急かされながらも朝食を終えた。結局皿洗いは、妹がやってくれる。  働いているわけでもなく、学校に通っているでもない。なのに、家事すらまともにできない。情けないやら申し訳ないやら、そういった感情を飛天は露にしな...
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高嶺のガワオタ(2)

<<はじめから読む!  リビングダイニングに落ち着いた飛天は、朝食に箸を伸ばしながら、母親の不在について聞いた。父は仕事だろうが、母がこの時間帯にいないのは、買い物か何かだろうか。  水魚は呆れて物も言えないという風に、飛天の顔をじっと見る...
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高嶺のガワオタ(1)

太陽が眩しかったから、人を殺したのは誰だっけ?  いや、それとも芋虫になったんだっけか?  朝日の眩しさに目を開けても、思考は上手く働かない。これは二度寝に励むほかない。  品川しながわ飛天ひてんの朝は遅い。学生でもなければ、働いてもいない...
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星読人とあらがう姫君(29)

<<はじめから読む! <28話 「お前を混乱させないために、出会ったときの夢を見せていたから……気づかなかっただろう」  小さい頃のお前も可愛いな、と彼は言う。間に挟まれた「も」という文字の意味に一瞬遅れて露子は気がついて、頬が熱くなった。...
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星読人とあらがう姫君(28)

<<はじめから読む! <27話  母が死んだあの夏の日。使用人や女房達のすすり泣く声が、遠くの空まで響いていた。母は家じゅうから愛されていた。それに比べて露子は、誰からも顧みられない。  屋敷の片隅で泣いていた露子を見つけてくれたのは、年上...
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星読人とあらがう姫君(27)

<<はじめから読む! <26話  塞ぎこんでいる露子の気づかぬ間に、秋と冬は過ぎていった。弥生の頃になって、露子はちょうど、一年前のことを思い出していた。  幸せだったな、と思う。父がいて、雨子がいて。結婚の話が降ってわいてきて、慌ただしく...
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星読人とあらがう姫君(26)

<<はじめから読む! <25話  その後芳明は黙りこくって、裁きを待っていたが、露子の父は違う。どうにかして死罪を免れようと、必死になって言葉を尽くしている。だがそのいずれも、納得のできるものではない。 「私だって同じ藤原の姓を引いている、...
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