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<10話
理の目論見どおりに、彰が夏織を始末してくれた。アカウントはもう、一週間以上前に削除してある。そして、サトルとして過ごすのも、あとわずか。
インターネットで毒にもなる薬品を購入した。金さえ払えば、ネットではなんでも買えるし、その使い方も公開されている。世の中とは便利なものだし、理に味方してくれる。
好きでもなんでもない女を口説くのは、苦行に等しかった。でもそれも、すべて終わる。
あの豚女に、この毒を飲ませて、夏織への脅迫の手紙を書いた犯人として、死んでもらう。
理は乾いた笑い声をあげて、鏡の中のサトルを見つめた。頻繁に繰り返したカラーリングで、ぱさぱさになった毛先に触れた。
「待っててね、兄さん」
邪魔な奴は全員消す。
これまでやってきたことは、みんな、兄さんを愛しているからだよ。
そしてこれからも、俺は。
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