「小説ディアプラス 2020ナツ号」に、「これだけはレビューしなければ!」という作品が載っていたので、ご紹介しますね。
『ひと恋、手合わせ願います』(椿姫せいら)
ディアプラスの公募からデビューされた、椿姫せいら先生。
公募で受賞してデビューして……と、私のようなワナビからすれば、憧れの存在です。
先生の作品は、雑誌で何作か拝見しています。
デビュー文庫は購入しました。
先生の作品に共通するのは、突き抜けたエロスだと思うのですが、新作は久しぶりに声を出して笑いました。
かつて天才の名をほしいままにした棋士・阿久津。
彼は人生のすべてを囲碁に賭け、生活能力は皆無。
心配した妹によって家政夫の三池が派遣されてきて……。
本当に阿久津が囲碁以外に何もできなくて、偏った思考をしているのが面白くて。
三池も三池で、阿久津への第一印象最悪なので、態度はでかいけど仕事は仕事でちゃんとする。
気の合わない二人が徐々に距離を詰めていく点は、王道のケンカップルと言ってもいいのでは……?
だがしかし。
椿姫せいら先生の魅力は、溢れ出るエロスだと言っているじゃないですか。
この小説も、エロエロです。棋士の話ですから、当然和服エロはあるとして。
最も特徴的なのは、囲碁プレイです。
そもそも阿久津九段、オカズが囲碁における奇跡の一手というあたりからヤバイ。
三池の言葉を借りれば、「珍獣」。まさしく「珍獣」。
でもその珍獣の相手をできるんだから、三池も相当以下略。
立て板に水のごとく、阿久津を言いくるめていく三池はなんなんですかね。
ただの家政夫じゃなくないですか? 阿久津がぱっぱらぱーすぎるともいうけれど。
新しい言葉を創り出す才能に溢れ過ぎていて、思わず感動しそうになります。
なんだ、碁ナニーって。三池の思考回路どうなってるんだ(褒めてる)。
その碁ナニーですっきりしてスランプを脱出できた阿久津九段が、三池にお願いするときの一言がこれまた。
「神の一手」って……。
あ、謝れ……! 藤原佐為に謝れ……(笑)!!
(脳裏に流れるOPのサビ)
(私は筒井さんと伊角さんが好きです。加賀筒でワヤイス)
いやしかし、囲碁を勉強したうえでしっかりプレイに活かしているのが、さすがプロ。
萌えと同時に「なんでこんなこと思いつく……?」と首を捻る私。
何事も作品の糧にできるように、精進せねばならん!
……ラブコメ読んで気を引き締めるのもどうかと思うけど。
絶対先生、この話ノリノリで書いたでしょ……!
というのがあちこちに見受けられる、とにかく楽しい話でした。
普段雑誌読まない人にもぜひ読んでもらいたいです。
ところで超初期段階の受けがブタで攻めが養豚家っていうのが気になり過ぎて、夜しか眠れません! 先生! どんな妄想だったんですか!!
こちらは電子書籍オンリー。
Amazon kindle unlimited対象なので、今度読む予定です。
(こうやって電子積読が増える)
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