ライト文芸 断頭台の友よ(91) <<はじめから読む! <90話 待ち合わせの療育院前に辿り着いたクレマンは、おかしな様子に顔を顰めた。 行き慣れた牢獄にも似た、堅牢だが粗末な造りの建物は、時折入院患者が発狂して叫ぶ声が聞こえるものの、普段は静謐な環境である。働いている... 2021.12.12 ライト文芸断頭台の友よ長編小説
ライト文芸 断頭台の友よ(90) <<はじめから読む! <89話 「何が仕方なかった、だ! 君は知っていただろう!?」 アリス殺しの犯人を捕まえるために協力をしてくれたクリスティンは、しっかり喋っていた。知能の遅れも見受けられなかった。喋りは幼く、肉体的な発達も平均より遅... 2021.12.05 ライト文芸断頭台の友よ長編小説
ライト文芸 断頭台の友よ(89) <<はじめから読む! <88話 マイユ邸に行くのはそういえば、久しぶりのような気がした。 捜査のためにいくつもの金持ちの屋敷を訪れたし、何ならギヨタンとの会合のために城にまで呼ばれたが、オズヴァルトが暮らす館は、細部にまで金をつぎ込み手... 2021.12.05 ライト文芸断頭台の友よ長編小説
ライト文芸 断頭台の友よ(88) <<はじめから読む! <87話 クリスティンとは、直接会うことがないままだった。手紙のやりとりだけを続けている。もっとも、彼女はまだ字を習っている最中だということなので、代筆の文章がサンソン邸には届けられる。 「ブリジット。クリスティンか... 2021.12.02 ライト文芸断頭台の友よ長編小説
ライト文芸 断頭台の友よ(87) <<はじめから読む! <86話 首斬鬼が、自殺願望をもつ者を殺しているのだと仮定して。 行きとはうってかわって、ゆっくりと馬に揺られながら、クレマンは思う。 生に貪欲な赤ん坊を殺す理由が、ずっとわからなかった。こちらの事件もまた、模倣... 2021.11.30 ライト文芸断頭台の友よ長編小説
ライト文芸 断頭台の友よ(86) <<はじめから読む! <85話 馬を走らせて、バロー家に辿り着く。主人のゴーチエは、不機嫌さを隠さない。クレマンを家にあげることを拒否しようとしたが、役人としての権力を発揮した。捜査に協力をしなければ、公務の執行を妨害したとして逮捕すると... 2021.11.30 ライト文芸断頭台の友よ長編小説
ライト文芸 断頭台の友よ(85) <<はじめから読む! <84話 一週間後、産婆のところを二人で訪れた。経験豊富な中年の女性は、ブリジットの身体をよく観察し、聞き取りをし、妊娠を告げ、いくつもの注意事項を列挙した。クレマンはひとつひとつ詳しく掘り下げて尋ね、すべてメモを取... 2021.11.28 ライト文芸断頭台の友よ長編小説
ライト文芸 断頭台の友よ(84) <<はじめから読む! <83話 兆候に気づいたのは、代々医師であろうとしてきたクレマンではなく、たまたま治療院にやってきた老女であった。 彼女は診察室から出ても、待合室で同じ年頃の女性たちと喋っていた。実権を嫁に譲り、農作業も腰の痛みがひ... 2021.11.28 ライト文芸断頭台の友よ長編小説
ライト文芸 断頭台の友よ(83) <<はじめから読む! <82話 歓迎の意味を込めたごちそう、というわけにはいかなかった。サンソン家の財力を考えれば、当たり前だ。ブリジットは金を使えない分、心を込めて下ごしらえをして、丁寧に調理した。幼い子供が苦手とする香味野菜の類は細か... 2021.11.24 ライト文芸断頭台の友よ長編小説
ライト文芸 断頭台の友よ(82) <<はじめから読む! <81話 しばらくドタバタしていたが、ようやく西の孤児院の新しい院長が決まった。教会から派遣された修道女で、東の孤児院の院長とも懇意にしている。クレマンは胸を撫で下ろした。あの自らを律し、子供たちのために奔走している... 2021.11.24 ライト文芸断頭台の友よ長編小説