ライト文芸 不幸なフーコ(36) <<はじめから読む! <35話 「おい。野乃花。遅刻するぞ」 「遅刻するのは哲宏だけでしょ。私は余裕だもん」 自転車での道のりは、哲宏の学校の方が遠い。私はすでにショートカットルートを開拓しているのだ。もう少し遅くに出ても平気である。 ... 2022.06.14 ライト文芸不幸なフーコ長編小説
ライト文芸 不幸なフーコ(35) <<はじめから読む! <34話 冬休み中に謝らなければならない人は、もうひとりいる。 青い顔をしていた私に、「ついていこうか?」と、哲宏が申し出たが、断った。私が向き合わなければならない問題だ。これ以上、哲宏を煩わせるわけにはいかない。... 2022.06.13 ライト文芸不幸なフーコ長編小説
ライト文芸 不幸なフーコ(34) <<はじめから読む! <33話 思い立ったが吉日、私は風子の家に向かった。彼女の祖父母にどう思われているかわからなかったので、呼び出しは哲宏にしてもらった。 「天木、今は出かけてるって」 今日は朝から冷え込んでいて、空もどんよりと曇って... 2022.06.12 ライト文芸不幸なフーコ長編小説
ライト文芸 不幸なフーコ(33) <<はじめから読む! <32話 次の日から、少しずつ私は、普通の生活リズムを取り戻していった。 朝起きて、昼に活動し、夜に眠る。その繰り返しは、どんな手段よりも、私の心と身体を正常な状態へと近づけていく。 朝食の席に姿を現した私を見て... 2022.06.11 ライト文芸不幸なフーコ長編小説
ライト文芸 不幸なフーコ(32) <<はじめから読む! <31話 学校を休む理由のレパートリーって、実はほとんどない。 お腹が痛いとか、頭が痛いとか。 熱のあるなしは、体温計で測ればすぐに数値化されてバレてしまうが、痛みや気分は自分の感じ方の問題だから、誰も強く言えない... 2022.06.10 ライト文芸不幸なフーコ長編小説
ライト文芸 不幸なフーコ(31) <<はじめから読む! <30話 文化祭二日目は、途中で帰ってしまった。当番もまだ残っていたのに、すべて投げ出した。具合が悪いとか、適当な理由をつけることはできた。 けど、電車の中でスマートフォンを片手に、誰に連絡をすればいいのか、わから... 2022.06.09 ライト文芸不幸なフーコ長編小説
ライト文芸 不幸なフーコ(30) <<はじめから読む! <29話 「なんであんたがいるのよ!?」 ヒステリックに叫ぶと、周りにいた人たちが何事かとこちらを向く。そして目つきの悪い学ランの金髪男を視界に入れると、慌てて視線を逸らし、そそくさと逃げていく。 風子は周囲の様子... 2022.06.08 ライト文芸不幸なフーコ長編小説
ライト文芸 不幸なフーコ(29) <<はじめから読む! <28話 一日目の土曜日は、校内の生徒しかいない。そこまで盛り上がるようなものでもなく、仲間内でやりとりした各模擬店の食券を使って飲み食いをしたり、自分の当番のときは、「いらっしゃいませー」と声を張り上げてみたりした... 2022.06.08 ライト文芸不幸なフーコ長編小説
ライト文芸 不幸なフーコ(28) <<はじめから読む! <27話 文化祭までの日々は、長く感じられた。 普通はあっという間だった、というのだろうけれども、私は早く日常に戻ってほしかった。 風子のクラスに様子を見に行けば、ギャルたちがわざと聞こえるように、嫌味を言ってく... 2022.06.05 ライト文芸不幸なフーコ長編小説
ライト文芸 不幸なフーコ(27) <<はじめから読む! <26話 真っ直ぐ家に帰らずに、哲宏の家に寄った。庭に自転車があるのを確認してから、ピンポンを押す。 インターフォンのカメラに私が映っているのが見えたのだろう。返事はなく、ただ、ガチャ、と鍵が開く音がした。 「お邪... 2022.06.04 ライト文芸不幸なフーコ長編小説