みんな愛してるから 夏織(5) <<はじめから読む! <4話 こっちこっち、と手招きされて、夏織は小走りに駆け寄り、「ごめん! 遅れて!」と手を合わせた。 「ほんとよ。自分で遊ぼうって呼び出しておいて遅れるなんて。相変わらずね、夏織」 明美あけみはそう言って、紅茶のカ... 2020.05.30 みんな愛してるからライト文芸長編小説
みんな愛してるから 夏織(4) <<はじめから読む! <3話 翌朝、出勤してきた百合子を待ち構えて、文也は人目につかない場所へと呼び出した。 はらはらした思いで見守っているのは夏織だけではなかった。昨日の食堂での一件は、思った以上に目立っていたようで、文也と百合子の向... 2020.05.30 みんな愛してるからライト文芸長編小説
みんな愛してるから 夏織(3) <<はじめから読む! <2話 職場から離れた店を、夏織は指定した。同時に庁舎を出ては意味がないので、文也には悪いが時間を潰してもらって、夏織は先に出た。 バスに乗って、十分少々。待ち合わせの喫茶店に、先に入店する。 昼はいいが、夜はや... 2020.05.27 みんな愛してるからライト文芸長編小説
みんな愛してるから 夏織(2) <1話 四月の頭まで、転入ラッシュによる市民課の繁忙期は続いた。文也は福祉課所属で、五階で業務に励んでいるので、平日はスマートフォンでのメッセージのやり取りだけが、二人の恋人同士の触れあいであった。 本当は、昼休みに食堂で話すことができ... 2020.05.27 みんな愛してるからライト文芸長編小説
みんな愛してるから 夏織(1) 「結婚を前提に、お付き合いしてください」 深々と頭を下げた男のつむじを、夏織かおりはぼんやりと眺めた。あ、二つある。なんて、どうしようもないことに気がつくのは、余裕があるからというよりは、現実味が薄いからだった。 夕暮れのビーチや、おし... 2020.05.27 みんな愛してるからライト文芸長編小説
ライト文芸 業火を刻めよ(エピローグ) <<プロローグから読む! <32話 自分の生きる時代に戻ってきたヒカルは、数日間医務室への入院をしたのちに、仕事に復帰した。幸い、桃子の幻覚は見えなくなっていた。 「奥沢巡査。初任務、ご苦労」 提出した報告書に目を通しながら、園田はヒカ... 2020.05.14 ライト文芸業火を刻めよ長編小説
ライト文芸 業火を刻めよ(32) <<プロローグから読む! <31話 事件から数日が経過した。テレビや週刊誌での報道は、憶測が憶測を呼び、真実からは遠ざかっている。勿論それは、政府や警察による圧力によるものだった。ヒカルは黒田の家で、一人でそれを確認すると、息を吐きだした... 2020.05.14 ライト文芸業火を刻めよ長編小説
ライト文芸 業火を刻めよ(31) <<プロローグから読む! <30話 ヒカルは口元を押さえた。うおおお、という信者たちの熱狂的な歓声が起きる前に、悲鳴を上げるところだった。 倒れ込んだ桃子は、まだぴくぴくと身体を痙攣させており、まだ生きているかもしれなかった。助けに行こ... 2020.05.14 ライト文芸業火を刻めよ長編小説
ライト文芸 業火を刻めよ(30) <<プロローグから読む! <29話 儀式の時刻まで、あと十分。 ヒカルは黒田が入手した信者の正装に着替え、儀式の行われる部屋にいた。地下二階に相当する場所は、広い一つの部屋になっており、出家信者たちと、熱心な在家信者たちで隙間なく、埋め... 2020.05.14 ライト文芸業火を刻めよ長編小説
ライト文芸 業火を刻めよ(29) <<プロローグから読む! <28話 重い扉の奥は、座敷牢だった。先ほどよりも、一段と空気が冷えたのを感じて、ヒカルは思わず身震いする。 「どうしてこんな」 独り言だったが、カイが親切にも答えをくれる。 「ここは、出家信者たちの修行場。己... 2020.05.13 ライト文芸業火を刻めよ長編小説