長編小説

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ごえんのお返しでございます

ごえんのお返しでございます【36】

<<<はじめから読む! <<4話のはじめから <【35】  今日は図書館での読書に熱中しすぎて、夕方になってしまった。糸屋に寄る時間もなく、すぐ夕飯だ。まっすぐ帰宅することにして、夕暮れの道を歩いていた。  太陽は、季節によって印象に残る時...
ごえんのお返しでございます

ごえんのお返しでございます【35】

<<<はじめから読む! <<4話のはじめから <【34】  糸屋からの帰り道に、たまたま肉のフジワラの前を通りかかると、大輔がひらひらと手を振ってきた。傍らには渚の姿もある。糸を買って帰った彼女のことを思い出して、僕は会釈をして通り過ぎよう...
ごえんのお返しでございます

ごえんのお返しでございます【34】

<<<はじめから読む! <<【33】  店には、二日続けて客がやってきた。日がな一日店を開けていても客が来ることはほとんどないのだから、これは快挙である。糸なんて、そんなに大量に買うものでもない。手芸趣味の人であっても、頻繁に買い替えること...
ごえんのお返しでございます

ごえんのお返しでございます【33】

<<<はじめから読む! <【32】 第四話 きょうだいあい   夏休みになって、僕は糸屋「えん」に入り浸っていた。  父は仕事に行くが、専業主婦の母は、家にいる。学校がないと、ずっと顔を合わせることになり、気まずい。かといって、自分の部屋に...
ごえんのお返しでございます

ごえんのお返しでございます【32】

<<<はじめから読む! <<3話のはじめから <【31】  結局その後、大騒ぎをしていた僕たちのところに、篤久の母が血相を変えてやってきた。  何度言っても繰り返し巻いた糸がすべての指からなくなり、「母さん」と弱々しい声で呼んだ息子のことを...
ごえんのお返しでございます

ごえんのお返しでございます【31】

<<<はじめから読む! <<3話のはじめから <【30】  一緒に行く、と言ってくれた大輔の予定に合わせた、木曜日。肉のフジワラは木曜が定休だった。店まで行くと、「よぉ」と、すぐに彼は出てきた。 「渚も行くって聞かなかったけど、あいつはガッ...
ごえんのお返しでございます

ごえんのお返しでございます【30】

<<<はじめから読む! <<3話のはじめから <【29】  引き返してきた僕のことを、糸子はちらりと見上げた。いつもと違う。そう思ったのは、彼女がずっとこちらを見据えているからだ。普段はすぐに目を逸らすのに。  微笑みを絶やさない彼女は、人...
ごえんのお返しでございます

ごえんのお返しでございます【29】

<<<はじめから読む! <<3話のはじめから <【28】  大輔と渚は、ずいぶん先に行ってしまっていた。慌てて追いかけていく。  方角を誤らないのは、大輔の「なーぎさー」という、なんとも情けない悲鳴のおかげだった。彼の馬鹿でかい声に感謝した...
ごえんのお返しでございます

ごえんのお返しでございます【28】

<<<はじめから読む! <<3話のはじめから <【27】  いつだってこの入り口に立つときは緊張するのだが、今日はひとしおだった。なにせ、ひとりじゃない。  僕の隣でワクワクを隠せていない大輔を見上げて、こっそりと息をつく。  コロッケ一個...
ごえんのお返しでございます

ごえんのお返しでございます【27】

<<<はじめから読む! <<3話のはじめから <【26】  荷物を発送して、さらに気温が上がった昼下がりの道を歩く。  足取りが重いのは、暑さのせいだけじゃない。  家に帰りたくない。母親と再び顔を合わせるのが怖い。またいつもの、陰気な顔を...
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