サイコ

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ライト文芸

業火を刻めよ(15)

<<プロローグから読む! <14話  翌日、ヒカルは手洗いして、黒田に借りて慣れない手つきでアイロンがけまでしたハンカチを手に、桃子と出会った場所の周辺を、うろうろしていた。無論、一人ではなくて、スポーツバッグの中から顔を出したウサギのぬい...
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業火を刻めよ(14)

<<プロローグから読む! <13話 「奥沢くんの担当の、娘の桃子さんの方だけどね。彼女は優等生だし、規則正しい生活を送っているから、尾行は楽だと思うよ」  少しでも危険だと思ったら、潜入をそこで諦めることをエリーと確認していた黒田に言われ、...
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業火を刻めよ(12)

<<プロローグから読む! <11話  あまり人のいない、裏通りを選んで歩いた。渡された地図を広げて見るが、ヒカルは自分の現在地すらわからない。首を傾げて、上下左右にひっくり返してみるものの、ピンと来るものはなかった。  二〇一八年に暮らす、...
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業火を刻めよ(11)

<<プロローグから読む! <10話  しばらくその場でぼうっとハンカチを見つめたままでいたヒカルだったが、唐突に思い出した。 (そうだ、スポーツバッグ……!)  確か、エリーはスキップが完了したらすぐに開けろと言っていたっけ。やばい。どのく...
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業火を刻めよ(10)

<<プロローグから読む! <9話  一、二、三。  視界を閉ざした状態で、念じる。跳びたい時間と、場所を思い浮かべる。  二〇一八年二月一日、時刻は午後三時。場所は、東京都足立区の、龍神之業の本拠地近く。  時間については正確に跳ぶことがで...
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業火を刻めよ(9)

<<プロローグから読む! <8話  出勤すると、エリーはすでに医務室にいる。いつも通りの黒ずくめのファッションの上に、白衣を羽織った姿だ。ヒカルは彼が、モノトーン以外を纏っているところを想像できない。 「っす」  小さく会釈したヒカルに、エ...
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業火を刻めよ(8)

<<プロローグから読む! <7話  翌日、早朝。  最低限の身の回りの物だけ詰め込んだリュックと、携帯端末を前にして、ヒカルは黙っていた。  携帯、といっても発信専用のようなものであり、電話着信はおろか、メッセージの着信すら、宣伝の類しか来...
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業火を刻めよ(7)

<<プロローグから読む! <6話  医務室へ戻ると、ヒカルは自分用に用意された机に突っ伏した。 「マジでか……俺、もうちょい先になると思ってたわ」  少なくとも一ヶ月は、エリーについてみっちり研修を受けてからの初出動だと信じていた。 「なぁ...
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業火を刻めよ(6)

<<プロローグから読む! <5話 正史課に置かれたデスクのうちの一つを、ヒカルは割り当てられている。荷物置き場としてしか利用していなかった。  出勤して荷物を放り投げると、ヒカルは急ぎ、医務室へと向かう。  極度の方向音痴であるヒカルだった...
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業火を刻めよ(3)

<<プロローグから読む! <2話  部長室に入るときと、同じくらい緊張で心臓が痛いほどだった。  医務室。この扉の奥に、悩殺ナイスバディのエリーがいる。マゾっ気はないはずだが、ヒカルはすでに、妄想の中のエリーに何度も罵倒されて遊ばれていた。...
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