バディ

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ライト文芸

業火を刻めよ(16)

<<プロローグから読む! <15話  少女の歩幅に合わせて歩くのは、窮屈だが、苦痛ではなかった。ただ、何を話せばいいのかはわからずに、黙っていた。  沈黙に耐えられなくなったのは、ヒカルではなく、桃子の方だった。  彼女は他愛のないことを話...
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業火を刻めよ(15)

<<プロローグから読む! <14話  翌日、ヒカルは手洗いして、黒田に借りて慣れない手つきでアイロンがけまでしたハンカチを手に、桃子と出会った場所の周辺を、うろうろしていた。無論、一人ではなくて、スポーツバッグの中から顔を出したウサギのぬい...
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業火を刻めよ(14)

<<プロローグから読む! <13話 「奥沢くんの担当の、娘の桃子さんの方だけどね。彼女は優等生だし、規則正しい生活を送っているから、尾行は楽だと思うよ」  少しでも危険だと思ったら、潜入をそこで諦めることをエリーと確認していた黒田に言われ、...
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業火を刻めよ(13)

<<プロローグから読む! <12話  黒田が住む一軒家は、生まれたときから集合住宅でしか暮らしたことのないヒカルにとっては、ただでさえ物珍しい。  まして二十二世紀現在であれば、文化財として指定されているような、この時代であっても「レトロ」...
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業火を刻めよ(12)

<<プロローグから読む! <11話  あまり人のいない、裏通りを選んで歩いた。渡された地図を広げて見るが、ヒカルは自分の現在地すらわからない。首を傾げて、上下左右にひっくり返してみるものの、ピンと来るものはなかった。  二〇一八年に暮らす、...
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業火を刻めよ(11)

<<プロローグから読む! <10話  しばらくその場でぼうっとハンカチを見つめたままでいたヒカルだったが、唐突に思い出した。 (そうだ、スポーツバッグ……!)  確か、エリーはスキップが完了したらすぐに開けろと言っていたっけ。やばい。どのく...
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業火を刻めよ(10)

<<プロローグから読む! <9話  一、二、三。  視界を閉ざした状態で、念じる。跳びたい時間と、場所を思い浮かべる。  二〇一八年二月一日、時刻は午後三時。場所は、東京都足立区の、龍神之業の本拠地近く。  時間については正確に跳ぶことがで...
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業火を刻めよ(9)

<<プロローグから読む! <8話  出勤すると、エリーはすでに医務室にいる。いつも通りの黒ずくめのファッションの上に、白衣を羽織った姿だ。ヒカルは彼が、モノトーン以外を纏っているところを想像できない。 「っす」  小さく会釈したヒカルに、エ...
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業火を刻めよ(8)

<<プロローグから読む! <7話  翌日、早朝。  最低限の身の回りの物だけ詰め込んだリュックと、携帯端末を前にして、ヒカルは黙っていた。  携帯、といっても発信専用のようなものであり、電話着信はおろか、メッセージの着信すら、宣伝の類しか来...
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業火を刻めよ(7)

<<プロローグから読む! <6話  医務室へ戻ると、ヒカルは自分用に用意された机に突っ伏した。 「マジでか……俺、もうちょい先になると思ってたわ」  少なくとも一ヶ月は、エリーについてみっちり研修を受けてからの初出動だと信じていた。 「なぁ...
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