ライト文芸

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みんな愛してるから

理(10)

<<はじめから読む! <この章のはじめから <9話  いよいよ「会いたい」と父が手紙で切り出した。母にばれないように、待ち合わせ場所と時間を指定していた。  きっちりと手紙を折り直した。少女からのものは複雑な形に折られていたので、不器用な理...
みんな愛してるから

理(9)

<<はじめから読む! <この章のはじめから <8話  兄の「おやすみ」の声で眠り、「起きて。遅刻するよ……おはよう」と起こされる日々が、小学生当時の理の幸せだった。文也の優しい声をいつまでも聞いていたくて、わざとぐずぐずと起き出したものだっ...
みんな愛してるから

理(8)

<<はじめから読む! <この章のはじめから <7話  明美は仕事をこなしてくれた。さらに、何も言っていなかったのに、彼女は新居の写真を撮影して、SNSにアップしていた。  夏織は、理の差し出した手紙をビリビリに破った。たった一言にそこまで反...
みんな愛してるから

理(7)

<<はじめから読む! <この章のはじめから <6話  翌日、テラスに現れた理を迎えた明美は、一瞬声をかけるのを躊躇っているようだった。理はこちらから、殊更に明るい声をかける。 「どうかしましたか、先生」  明美は先生と呼ばれるのを喜ぶ。いつ...
みんな愛してるから

理(6)

<<はじめから読む! <この章のはじめから <5話 「ああ、はい。そうなんすよ。オレのこと、なんかやらしい目で見てきて……」  いつもの口調よりもだるそうなものに変えて、理は母家から、固定電話を使用して市役所に苦情を入れていた。  もう一方...
みんな愛してるから

理(5)

<<はじめから読む! <この章のはじめから <4話  連休最終日の昼間に、文也はマンションへと帰っていった。行かないでよ、と言うことはさすがの理もできず、ただ微笑んで、見送った。  夜になってから、理は購入してあったヘアスプレーで髪の色を変...
みんな愛してるから

理(4)

<<はじめから読む! <この章のはじめから <3話  久々に帰省した文也に対して、母親はそっけなかった。 「何しに帰ってきたのよ」  睨みつけられ、冷たい声を浴びせられても、文也は動じずに、彼女の向かい側に正座をして、きちんと話をする体勢を...
みんな愛してるから

理(3)

<<はじめから読む! <この章のはじめから <2話  連休初日に、兄は実家に帰ってきた。いてもたってもいられず、理はバス停まで迎えに行った。 「お帰り、兄さん」  だいたいの到着時刻を伝えていたとはいえ、まさか理が待っているとは思わなかった...
みんな愛してるから

理(2)

<<はじめから読む! <1話  小野田明美。理の通う大学の、文学部で助手を務めている。工学部情報科学コースに在籍する理とは、元々は接点がない。  夏織がアップした写真の内、複数枚に映り込んでいるのは明美だけだった。理は彼女のことを調べ上げ、...
みんな愛してるから

理(1)

<<はじめから読む! <「百合子」17話  ――恋なんて、自分勝手でいいの。恋より愛が上なんて、誰が決めたの。  耳元で鳴る洋楽は、理には意味などわからない。ハスキーな女性ボーカルは、なぜだか十年も前に聞いた、懐かしい女性の声を思い起こさせ...
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