平行線上のアルファ~迷子のオメガは運命を掴む~(48)

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47話

 ひとしきり笑い合ったところで、ふと沈黙が落ちた。ベッドの上に並んで座ると、そわそわと落ち着かない気分になる。

 ぽわん、と頭に熱が上がり、早見のことしか考えられない状態になった日高は、それが発情だと気がついた。

 周期的にはまだ早い、はず。

 焦った日高は、すぐ傍の早見の身体から、少しだけ距離を取ろうと試みた。しかし、早見の方が一枚上手である。日高のもぞもぞした動きを察すると、すぐに腕の中に閉じ込めてしまった。

「あ、あの、早見さん……俺、そのっ」

 久しぶりの再会に、発情周期が狂ってしまったのが恥ずかしい。だが、早見は日高の羞恥心などお構いなしである。

「日高だけじゃない。俺も……」

 ぴったりと寄せられた身体から伝わる熱は、日高よりも高い。

 特に、太腿に当たる、すでに勃起の兆候があるペニスは、布越しであっても日高の理性を崩すのに十分だった。

「あの日のことは、正直覚えていないんだ」

「それ、は……」

 申し訳なさそうな顔をする早見だが、あのときのことは、謝るべきはむしろ自分の方である。

 早見は日高の手を取ると、甲に口づけた。恭しく、気障な仕草であるが、それが様になるのだから、やはり男前だ。

 うっとりと見つめていると、流し目を送られる。唇は甲から徐々に上に這い上がっていき、下腕の内側を強く吸われた。

「んっ」

 その間も注がれる熱視線に、いよいよ日高の身体は発情を隠せなくなる。目の前の、運命の男だけを誘う花の香りが、部屋の中を満たしていく。

「やり直しをしよう」

 高級ホテルの一室は、まさしく初夜にふさわしい。

 艶のある低音で、囓られると同時に耳元に囁かれると、日高は逆らえない。

 こくりと頷くと同時に、ふかふかのベッドに押し倒され、口づけられる。

 長いキスだった。離れていた時間を埋めるように、全身を密着させる。早く素肌で彼を感じたくて、ボタンに手を伸ばしたのは、日高が先だった。

 しかも、自分のではなく、早見の服のボタンにである。  当然、他人の洋服を脱ぎ着させる経験などない日高は手こずる。口を吸ったままの状態の早見が、微かに笑ったのがわかる。

「ん……」

 ちゅ、という音を立てて離れていく唇を、思わず尖らせて追いかける。その様に、今度こそ声を上げて笑い、早見は自分のシャツを素早く脱ぎ捨てて、日高の服を脱がせにかかる。

 なんというか、スマートだった。手慣れている。日高が深いキスの余韻にぽーっとなっているのをいいことに、あっという間に下肢まで剥かれてしまう。

 羞恥を覚え、前を隠そうとしたときにはすでに遅かった。両手を柔らかく捕らえられ、シーツに縫い止められる。

49話

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