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偽りの魔法は愛にとける(6)

<<はじめから読む! <5話  定時の午後五時。メロディーが鳴り始めるやいなや、海老沢は作業中のデータを保存して、いそいそと帰り支度を始める。  チームが若手主体のため、経験の浅い人間にこの仕事は託せない、と抱え込み、残業することも多かった...
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偽りの魔法は愛にとける(5)

<<はじめから読む! <4話  元はバーとして営業していた店舗は、「ステラ」より少し広い。カウンター席は六席。テーブル席の用意もある。カジュアルな雰囲気で、一見の客も入りやすく、それでいて大人の社交場であるバーの空気感を壊さないように工夫が...
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偽りの魔法は愛にとける(4)

<<はじめから読む! <3話  久々の飲酒で痛む頭を押さえながら目覚めた、翌土曜日。気怠い身体をソファにだらりと預けた海老沢の手には、昨夜ママから渡された、魔法のキャンディーの瓶がある。  一つ舐めれば、三時間は二十歳の頃の姿になれる。昔の...
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偽りの魔法は愛にとける(3)

<<はじめから読む! <2話 「本当は、入る気でいたんだよ。でも、中から若い女の子が出てきて、怖気づいちゃったんだ」  若さは男女限らず、恋愛における一種の武器だと海老沢は思う。恋で深手を負ったことがないから、失恋しても吹っ切れるのが早い。...
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偽りの魔法は愛にとける(2)

<1話  東京に就職してよかったことは、田舎とは違い、ゲイコミュニティへの参加が比較的容易なことだ。  いわゆる「二丁目」と言われる界隈以外にも、飲み屋街のはずれにはひとつふたつ、ゲイが多く集まる店がある。インターネットで少し調べれば、簡単...
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偽りの魔法は愛にとける(1)

名刺サイズのショップカードとスマホの地図を見比べる。  ここだ、と看板を見上げる海老沢えびさわの髪の毛を、生温い風が揺らした。  真鍮製のドアノブがついた扉は、レトロな重厚感が漂っていて、店に流れた月日を感じさせる。店主はまだ若く、まだ二十...
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保護中: しあわせのしっぽ(3)

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しあわせのしっぽ(2)

<1話  飛び級で医科大学を卒業し、臨床医ではなく基礎医学を志して大学院で学んでいた笹川がコーディネーターになったことに深い意味は存在しない。基礎医学を学んだのは、目の前の人間に対してひとつひとつ対応していく臨床医より、病理の研究を通して新...
迷子のウサギ?

しあわせのしっぽ(1)

自分が表舞台に立つのはやはり失敗だ、と笹川は内心、溜息をついた。聴衆の耳を彼の声はただ通り過ぎていく。それは彼らの目が、プロジェクタで投影されたプレゼン用のスライドではなく、笹川の顔に注がれていることからもわかる。 「……ですから、ここにお...
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迷子のウサギ?(エピローグ②)

<<はじめから読む! <エピローグ① 「わかっていたんだろう?」  コーヒーを飲みながらの笹川の台詞に、高山は「なにが?」と首を傾げた。 「とぼけなくてもいい。あいつらがこうなるってこと、お前にはわかっていたんだろう?」  あいつら、という...
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