ライト文芸

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断頭台の友よ(74)

<<はじめから読む! <73話 「女の子は、夜に院長先生の部屋に呼ばれるの」 「それは、全員?」  彼女は首を横に振った。選抜された少女はおそらく、生前のアリスと同じく、可愛らしい子供だったのだろう。一人ずつ順番に呼ばれる。クリスティンは呼...
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断頭台の友よ(73)

<<はじめから読む! <72話  オズヴァルトがとった宿の部屋に入り、念のためにカーテンを閉めた。それからクレマンは、ようやく声を発する。 「クリスティン!」 「ああ、やっぱり、おじさんだったのね」  人目がないことに安心したのか、クリステ...
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断頭台の友よ(72)

<<はじめから読む! <71話  あの子は死体の第一発見者だ。些細なことから、事件が発覚することを恐れている?  クレマンはオズヴァルトに目配せをした。彼はこちらの意図を汲んで、立ち上がる。 「それではこれで」 「えっ」  こちらは別に、取...
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断頭台の友よ(71)

<<はじめから読む! <70話 「ところで院長、私は、あなたの商売に興味があるんですよ」  得体の知れない笑みを浮かべたまま、オズヴァルトは言い放つ。孤児院の院長といえば、仕事は盛りだくさんだ。子供たちの世話はもちろん、帳簿付け、予算が足り...
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断頭台の友よ(70)

<<はじめから読む! <69話  食事もそこそこに退出し、孤児院に戻ろうとしたクレマンを、オズヴァルトは押しとどめた。 「さっき揉めてただろ。何の策もなく行ったところで、無駄だ」  そう言うと、彼はクレマンをじろじろと見た。暗い顔を、いつも...
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断頭台の友よ(69)

<<はじめから読む! <68話 「こっちこっち!」  野次馬に紛れようとも、見失いようがない長身に、クレマンは軽く手を振り近づいた。 「オズヴァルト」 「クレマン、どうしてこんなところに? 何かあったのか? なんだかすごく、物々しい雰囲気だ...
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断頭台の友よ(68)

<<はじめから読む! <67話 「クリスティンちゃんは、いくつ?」 「十歳」  それにしては、幼い。幼すぎる。閉じた世界で過ごしているとはいえ、五歳か六歳の幼児でも、もう少し分別がある。特に都会の子供ならば。 「クリスティンちゃんは、アリス...
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断頭台の友よ(67)

<<はじめから読む! <66話  クレマンは再度、遺体を眺める。イヴォンヌもずいぶん細いと思っていたが、それでも彼女はまだ、好きな物はきちんと食べていたからましだったのだと少女の亡骸を見て思った。明らかに栄養が足りていない。  先日行った東...
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断頭台の友よ(66)

<<はじめから読む! <65話 「どうなってやがる!」  同僚が叫んだ。クレマンはあまりの大きな声に一度びくりと肩を震わせる。驚きはしたが、完全に同意であった。  何せ、三日と開けずに孤児院で殺人事件が立て続けに起きたのだ。前回の乳児殺しは...
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断頭台の友よ(65)

<<はじめから読む! <64話 「君」  突っ立っているだけだった医師見習いの青年に、クレマンは言った。 「他の職員に、聞いてきてくれないか」  昨夜、赤ん坊の夜泣きが聞こえたかどうか。それから、夜中に目が覚めることがあったか。普段の寝つき...
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