ライト文芸

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断頭台の友よ(54)

<<はじめから読む! <53話  ギヨタンとの邂逅と、国王陛下との謁見に正気を失いかけたクレマンだったが、遊んでいる場合ではない。マノンが最後に教えてくれた手がかりを、無駄にするわけにはいかない。  明日の旬日には、絶対に例の集会に行く。そ...
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断頭台の友よ(53)

<<はじめから読む! <52話 「心配するでない。余がなんとかしよう」  分厚い絨毯は、足音をすべて吸い取ってしまうらしい。二人とも第三者の入室に気づかず、朗々とした声で呼びかけられて、驚いて飛び上がった。そして顔を確認すると、あまりの不敬...
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断頭台の友よ(52)

<<はじめから読む! <51話 「そこで私は、新たな処刑具を提案させていただきたいのです」  何の合図を送ったわけでもないのに、王宮勤めの侍従が紙の束を持ってきたことに驚く。どこかから見られているのだろうか。思わずキョロキョロとあちこちに目...
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断頭台の友よ(51)

<<はじめから読む! <50話  ギヨタンは理想を語った。観客はクレマンひとりだけの、演説会場である。身振り手振りを交えて、共感を得ようと熱意を込めて説く。  彼は現行の死刑制度に不満を覚えていた。 「死刑をなくせ、というのではありません。...
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断頭台の友よ(50)

<<はじめから読む! <49話  誰ともすれ違わないように連れてこられた部屋に、遅れてやってきたのは、薄毛の男であった。残された髪の毛もほとんどが白いもので、相当年配であることは見てとれた。身なりは粗末とまではいわないが、あまりかまわない性...
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断頭台の友よ(49)

<<はじめから読む! <48話  その日、クレマンは朝から胃が痛かった。  原因は、数日前に届いた手紙である。マノンの処刑から三日後、まだ調子が戻らない。オズヴァルトからマノンや彼女の夫・オーギュストについての話をしたいという催促が何度も来...
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断頭台の友よ(48)

<<はじめから読む! <47話 「カルノー夫人」  自分たちが知り合いであることが悟られるとまずいので、クレマンは小声で呼びかけた。持参した布を細く畳み、クレマンは彼女の視界を閉ざす。途端に観客からの非難の声が上がった。男の野太い声であった...
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断頭台の友よ(47)

<<はじめから読む! <46話  広場に集まった人々の熱狂で、空気が揺れていた。断頭台の目の前を陣取った人は、いつこの場にやって来たのだろう。死刑の執行日や時間は広場に掲げられるものの、誰がという情報までは出たり出なかったりする。役人の匙加...
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断頭台の友よ(46)

<<はじめから読む! <45話 「どうして」  馬車上で滅多に口を開くことのないクレマンは、沈黙に耐えきれなかった。吐露した疑問は風と馬の蹄の音が消してくれることを期待したが、マノンの耳に入った。彼女は瞠目し、仮面の奥のクレマンの素顔を見透...
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断頭台の友よ(45)

<<はじめから読む! <44話  高等法院の建物の地下、刑の執行を恐怖とともに待つ牢屋の前に、クレマンは立った。ベッドやテーブルに椅子といった最低限の家具が置かれているこの牢は、下級貴族や資産家のための牢である。生活環境が整っているわけでは...
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