ライト文芸

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断頭台の友よ(44)

<<はじめから読む! <43話  クレマンは胸のポケットから、マノンに渡されたカードを取り出した。自殺志願者の集う場所。集まって、何をするのか。死にたいという気持ちをもった人間が集まれば、一人では実行する勇気のない人間も、集団心理に乗せられ...
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断頭台の友よ(43)

<<はじめから読む! <42話  サンソン一族の墓は、他の貴族たちと同様、王都の立派な教会が持つ北の墓地にある。祖父が爵位を賜ったときに、移設したものであった。  王都の北門から出て、馬車に揺られてややすると、開けた土地が見えてくる。王家の...
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断頭台の友よ(42)

<<はじめから読む! <41話 「マノン様は、アンベール様のことをどう思っていたのですか?」  貴族や裕福な商人たちの間では、政略結婚は当たり前だ。クレマンが田舎の処刑人一族の娘たるブリジットを娶ったのだって、ある種の契約である。現在、マノ...
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断頭台の友よ(41)

<<はじめから読む! <40話  被害者のアンベール・バルテルは、子爵家の次男だった。本来ならば跡取りとはならず、役人の道を進むか、あるいは他家に婿に行く立場の男であった。自身も次男であるクレマンは、彼とよく似た立場である。そして、跡継ぎの...
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断頭台の友よ(40)

<<はじめから読む! <39話 「先生?」  少なくはないはずの思い出と、妄想の母とでないまぜになった思考は、マノンの声で現実に戻る。すいません、と謝りながら、クレマンは薬の調合を始める。 「最近はいかがですか?」 「そうですわね……だいぶ...
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断頭台の友よ(39)

<<はじめから読む! <38話 「先生のおかげで、ずいぶん眠れるようになったの。ありがとう」  彼女は貴婦人の手本のように一礼する。クレマンは慌てて、「いえ。お力になれたのなら、よかったです」と言う。同じ貴族であって、同じではない。カルノー...
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断頭台の友よ(38)

<<はじめから読む! <37話 「先程、胸がドキドキと苦しいとおっしゃっていましたが、何か悩みごとでもあるのでしょうか?」  不安感に襲われると、胸のあたりが詰まり、呼吸が浅くなる。漠然とした不安の正体を紐解いていけば、たいてい、具体的な悩...
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断頭台の友よ(37)

<<はじめから読む! <36話  二人きりにされると、にわかに緊張してきた。クレマンは、友人と屋敷の主を見送る。執事のシモンも、あちらについて行ってしまった。 「クレマン様」 「は、はい!」  声が上擦った。振り返ると、マノン・カルノーは「...
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断頭台の友よ(36)

<<はじめから読む! <35話 「ようこそ、サンソン卿」 「ぜひ、クレマンと」 「お言葉に甘えて、クレマン殿。私がオーギュスト・カルノー。そしてこちらが妻のマノン」  夫は四十絡み、妻はまだ若い。年の差夫婦は珍しくもないし、クレマンたちだっ...
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断頭台の友よ(35)

<<はじめから読む! <34話  カルノー子爵邸は、マイユ家よりもバロー家よりも、当然サンソン家よりも、もっとずっと立派であった。国王の暮らすロザリンド宮を模した白亜の館である。宮殿が建てられたのは、十年ほど前だったと思うので、その頃、カル...
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