断頭台の友よ

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ライト文芸

断頭台の友よ(68)

<<はじめから読む! <67話 「クリスティンちゃんは、いくつ?」 「十歳」  それにしては、幼い。幼すぎる。閉じた世界で過ごしているとはいえ、五歳か六歳の幼児でも、もう少し分別がある。特に都会の子供ならば。 「クリスティンちゃんは、アリス...
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断頭台の友よ(67)

<<はじめから読む! <66話  クレマンは再度、遺体を眺める。イヴォンヌもずいぶん細いと思っていたが、それでも彼女はまだ、好きな物はきちんと食べていたからましだったのだと少女の亡骸を見て思った。明らかに栄養が足りていない。  先日行った東...
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断頭台の友よ(66)

<<はじめから読む! <65話 「どうなってやがる!」  同僚が叫んだ。クレマンはあまりの大きな声に一度びくりと肩を震わせる。驚きはしたが、完全に同意であった。  何せ、三日と開けずに孤児院で殺人事件が立て続けに起きたのだ。前回の乳児殺しは...
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断頭台の友よ(65)

<<はじめから読む! <64話 「君」  突っ立っているだけだった医師見習いの青年に、クレマンは言った。 「他の職員に、聞いてきてくれないか」  昨夜、赤ん坊の夜泣きが聞こえたかどうか。それから、夜中に目が覚めることがあったか。普段の寝つき...
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断頭台の友よ(64)

<<はじめから読む! <63話  医者は呼ばれていたが、クレマンよりも若い男で、その師は外科的治療しか教えていないらしい。彼らは具合が悪いときは瀉血だ! という悪い病気にかかっている。  刃の薄い手術用ナイフを取り出した瞬間に、クレマンは思...
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断頭台の友よ(63)

<<はじめから読む! <62話  クレマンはあまりの凄惨さに吐き気を覚えた。死体には慣れている。大人の死体には。  血の海の中にごろごろと転がるのは、人形ではない。つい数時間前までは生命を宿していた抜け殻だ。クレマンは吐き気を堪えて、死体の...
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断頭台の友よ(62)

<<はじめから読む! <61話  せっかく手に入れた手がかりであったが、犯人まで到達できなかったことに、クレマンは憤った。  あれから平謝りに徹したクレマンを、司祭は快く許した。傷は他国の戦争に参加したときに負ったもので、それが原因で傭兵を...
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断頭台の友よ(61)

<<はじめから読む! <60話  首斬り鬼のしていることは、傍から見ればただの無秩序でおぞましい人殺しだが、被害者と犯人にとっては、一種の契約なのかもしれない。死にたがっている人間を殺してやったのだ、何が悪い。開き直りを感じる。  イヴォン...
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断頭台の友よ(60)

<<はじめから読む! <59話 「それでは、新しく参加されたあなたは、いかがですか?」  話を振られたオズヴァルトは、クレマンと目を合わせた。決意の色を宿した青に向かって、クレマンは小さく頷いた。 「実は先日、婚約者を亡くしまして」  悲痛...
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断頭台の友よ(59)

<<はじめから読む! <58話 「いえ。あなたのように輝いた目の持ち主は、珍しいものですから」  言われてクレマンは、さっと集会参加者たちを見回した。こちらに興味をもっている人間の目は、なるほど、暗い。当然か。ここにいるのは全員、自殺志願者...
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