断頭台の友よ

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ライト文芸

断頭台の友よ(38)

<<はじめから読む! <37話 「先程、胸がドキドキと苦しいとおっしゃっていましたが、何か悩みごとでもあるのでしょうか?」  不安感に襲われると、胸のあたりが詰まり、呼吸が浅くなる。漠然とした不安の正体を紐解いていけば、たいてい、具体的な悩...
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断頭台の友よ(37)

<<はじめから読む! <36話  二人きりにされると、にわかに緊張してきた。クレマンは、友人と屋敷の主を見送る。執事のシモンも、あちらについて行ってしまった。 「クレマン様」 「は、はい!」  声が上擦った。振り返ると、マノン・カルノーは「...
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断頭台の友よ(36)

<<はじめから読む! <35話 「ようこそ、サンソン卿」 「ぜひ、クレマンと」 「お言葉に甘えて、クレマン殿。私がオーギュスト・カルノー。そしてこちらが妻のマノン」  夫は四十絡み、妻はまだ若い。年の差夫婦は珍しくもないし、クレマンたちだっ...
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断頭台の友よ(35)

<<はじめから読む! <34話  カルノー子爵邸は、マイユ家よりもバロー家よりも、当然サンソン家よりも、もっとずっと立派であった。国王の暮らすロザリンド宮を模した白亜の館である。宮殿が建てられたのは、十年ほど前だったと思うので、その頃、カル...
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断頭台の友よ(34)

<<はじめから読む! <33話  早速、明日カルノー邸に向かう約束をしているオズヴァルトに便乗することになる。引き出しから勝手に便箋を取り出して、連れがいる旨をしたためる。その横顔を眺めて、クレマンは自分に負けず劣らず、彼の顔色もよくないこ...
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断頭台の友よ(33)

<<はじめから読む! <32話 「どうした。今にも自殺しそうな顔だな」  オズヴァルトは軽い気持ちで口にしたのだろう。口にしたその瞬間には、クレマンの顔を見ておらず、ブリジットが焼いた菓子に手を伸ばしていたのだから。焼き菓子を口いっぱいに頬...
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断頭台の友よ(32)

<<はじめから読む! <31話  一人娘の結婚は、商売のためであった。マイユ家の三男坊、オズヴァルトとの結婚はイヴォンヌに課せられた義務であった。  だが、彼女は恋をしてしまった。相手は、バロー家の前の使用人頭の男だった。ゴーチエたちは男の...
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断頭台の友よ(31)

<<はじめから読む! <30話 「イヴォンヌ嬢のお子さんは、どうなさったんですか?」  聞き方はいろいろあった。だが、あえて衝撃的な台詞を吐き出したのは、バロー夫妻の反応を見るためであった。不意を突かれると、人は取り繕うことができない。彼ら...
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断頭台の友よ(30)

<<はじめから読む! <29話  イヴォンヌの事件からひと月以上が経過しており、バロー商会も通常営業に戻りつつある、らしい。推測でしか話すことができないのは、オズヴァルトも社交界での聞き込み捜査が忙しく、バロー邸を訪れることがまれになってお...
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断頭台の友よ(29)

<<はじめから読む! <28話  早馬を走らせ、屋敷の前に辿り着いてから、クレマンは自分の浅はかさに舌打ちをした。今日はオズヴァルトがいない。約束をしていないクレマンに、彼らは会ってくれるだろうか。  とっぷりと日が暮れており、今頃は食後の...
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